三人の父親と二人の母親に育てられた兄弟

私と弟は、三人の父親と二人の母親に育てられました。

複雑な家庭環境で育ったというわけではなく、実の両親の他に、二人の叔父と一人の叔母から惜しみない愛情を注がれて育てられました。

二人の叔父は今もなお独身で、叔母には二人の娘がいますが、息子はいません。

二人の叔父と叔母は、私と弟のことを自分の子供のように可愛がってくれました。

二人の叔父と叔母から注がれるあふれるほどの愛情は、思春期の頃の私達兄弟にとっては、普通の家族より2.5倍うざったく感じられたものでした。

実の父と二人の叔父はそれぞれ「職人」と名のつく職業をしていました。

実の母は父の仕事をサポートしていて、叔母はマッサージ師の資格を持つ、やはり手に職を持つ人です。

そんな三人の父親と二人の母親から、私達兄弟は実に多くの事を教えてもらいました。

実の父からは、自分の店を持って家族のために一生懸命に働いて家族を養う生き方を。

二人の叔父からは、妥協を許さないプロフェッショナルなモノづくりの精神と、大人の遊び方や大人の嗜みを教わりました。

十八の頃には叔父の行きつけにバーに足を踏み入れるようになり、二十歳の頃には既にそのバーの常連になっていて、酒を飲みタバコをふかしていました。

もちろん、酒とタバコは二十歳を過ぎてから嗜むようになりましたよ。(汗)

まぁ、今もなお務めている会社のお偉いさん方はとても寛大で、高校を卒業してすぐ就職した私達「未成年」を、「大人」として扱ってくれて、「自分で働いて金を稼ぐようになったらもう立派な大人だ!酒もタバコも私が許す!」なんて言っていた方もいらっしゃいました。(笑)

実の母と叔母からは、時に優しく、時に厳しくしつけられました。口うるささは2倍ですよ。(苦笑)

その口うるささはハンパなく、外出時にハンカチとティッシュを持たないと落ち着かない私を作り上げました。

経済的には厳しい家庭環境でしたが、ある意味では恵まれた環境で育ったのだと思います。

二人の叔父と叔母には、私が父親、母親のように思っている事は話していません。

多分泣くと思うから。(笑)

普通の人より2.5倍の愛情を注がれて育った私と弟は、悲しみも2.5倍受け止めなければなりません。

私は、いずれ必ず訪れる「死」という別れを迎えた時に号泣しないように、たまにベランダでタバコをふかしながら一人泣いています。

ま、今の時点でどんなに泣いても、実際に迎えた時は号泣するだろうな。

まだ恩返しが済んでいないから、みんな長生きしてね♪

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